4650人が本棚に入れています
本棚に追加
/621ページ
潤目線
指先から温もりが消えた。
白の蔦によって、郁が俺から離れる。
潤「郁、郁っ!
待ってくれ!!」
もう郁に会えない。
今捕まえなければ、二度と。
けれど、伸ばした手は届かず、距離は離れるばかり。
茨が幾重にも巻き付いた塔の様なものに、郁は引きこまれていく。
その頬に一筋の光が見えた。
そして、とうとうその塔に郁は辿り着き、蔦によって縫いとめられていく。
両腕を真横に広げ、足を真っ直ぐ揃えた、十字架のような姿勢で。
とても神聖なものにも見えた。
けれど、それが郁であるとういう時点でそんなものは消しとぶ。
潤「郁、郁っ!」
白「止まれ、鷺ノ宮潤」
走り込んでいこうとすれば、目の前に現れる久しぶりに見た白羅。
白「白魔法を完成された
もはや、どうすることもできまい
郁様は、お勤めを終えられたのだ」
潤「終わってねぇ!!」
最初のコメントを投稿しよう!