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まだ、死んでねぇ。
あんなに暖かかった。
涙を流していた。
その時、弾けるような光が塔から放たれる。
突き刺すようなものではなく、包み込むような光に目が反らせなくなる。
潤「郁……」
郁の体から、何かが出てくる。
透き通った何か。
それは人の形をなしていく。
潤「郁っ!」
郁とよく似た、けれど女性の透き通るそれ。
それはこちらに向かって微笑む。
言われずとも分かった。
これは郁の魂。
ふわりと郁の体から抜けると、こちらに浮きながら進んでくる。
そして、俺の頭をその胸に抱きしめた。
温もりも感触も何もしなかった。
ただ風が纏わりついているようだった。
白「幾重もの年月、ごくろうさまでした
お休みなさいませ」
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