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潤SIDE
呉「また、それを見てるんですか?」
何時の間にか、後ろに呉羽が立っていた。
あれから、半年が過ぎた。
ここは、郁と臣の眠る教会。
オレンジの夕日がステンドグラスを照らし、床が様々な色に淡く染まる。
その中でも、最も人の目を引きつけるのは、薔薇の塔だった。
白い郁の頬がオレンジに染まる。
本当に眠っているようで、今にもその瞳を開けそうだ。
呉「まだ、それに縋りつくのですか?」
初めて、この映像を見て、涙があふれた。
目の前で、郁が笑っていた。
喋っていた。
触れられそうに近いのに、手を伸ばせば、通り抜けてしまう。
それが悲しくて、見たくはなかった。
けれど、此処でしか郁の声を、笑顔を見られない。
だから、あの石が教会に移されてから、何度も1人で足を運び、見続けた。
あの日まで、確かにあった温もり。
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