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荒野を一人の人間が歩いていた。
白よりも白い純白のローブを風にたなびかせ、深くフードを被っているため、その顔は解らない。
ローブの胸元にはKの文字の後ろに片翼が描かれたマークが入っていた。
首からは紐がチェーンの代わりになっている手の平サイズの十字架が垂れ下がっていた。
人間の回りには、五体満足でない異形のモノ達が倒れている。
狼の姿や顔は牛で身体は人間に近いモノも……
それらが、地面を覆い隠すように幾重にも重なっていた。
その光景は数十キロに及んで広がっている。
血が飛び散り、赤黒く染まる大地の中を純白の人間が歩く異様な光景がそこにはあった。
人間は一旦足を止め、回りを見回した。
?「……終わりか……」
小さく人間が呟いたかと思うと、既にそこに人間の姿はなかった。
後にはただ無残な光景だけが広がっていた。
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