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物凄く鋭かった。
そういえば、アリアーネさんは陛下に偽の報告をしたはずだ。
その中にはメイさんを救ったという内容は無かったはずだった。
もしかして、アリアーネさんの嘘も見抜いたのだろうか?
後で尋ねてみよう。
そして、そのアリアーネさんは隠れてこっそりこちらを見ていた。
「はい。陛下の言う通り、旅人です」
「そうか。最近ではギルドに所属せずに旅をする人間はほとんどいないから珍しいね。あと、その陛下っていうの止めてくれないか? メイリーンの友達なら呼び捨てでも構わないよ」
「呼び捨ては流石に…。では、リアンディスさんで」
「うん、そうしてくれ。で、君はなぜ旅をしているんだい?」
なんだかメイさんとほとんど同じ質問だな。
やっぱり兄妹は似ている所がちゃんとあるんだ。
「楽しいから、です」
メイさんに言った事と同じ事を言う。
「そうか…」
リアンディスさんは微笑んでそう呟く。
顔はなぜか暗い顔をしていた。
そして、次の瞬間、
「無理だとは思うが…」
リアンディスさんは椅子から立ち上がり、両掌を机の上について体をこちらに傾けてくる。
そして、
「頼み事があるんだ」
そう続けた。
「頼み事…ですか?」
「ああ…」
リアンディスさんがとても暗い顔で頷く。
続けて、
「メイリーンの傍に居てやって欲しいんだ」
そう、言った。
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