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「それは…どういう…」
いまいち意味が理解できなかった。
「僕は王としての勤めを果たさなければいけないから、ずっとメイリーンの傍にいて守ってやれないんだ…。ギルドのみんなもいるが、この通り、時々だが、別々にクエストを受けていなくなってしまう事がある…」
それを聞いて、さっきの意味が理解できた気がした。
「君は、あの子の特殊な力を持っている事をしっているかい?」
突然そう尋ねてきた。
「特殊な力…?」
「ああ、あの子は生まれつき、滅んだはずの「魔法」が使えるんだ」
「あ…」
その事か…。
でも、それが今、何に関係するのかは分からなかった。
「実は、その能力を狙う組織がいるんだ…」
「え……」
その言葉を聞いて、俺は大きく目を見開いた。
「一体、その組織が何者なのかは分からない。だが、そういう組織がいるのは間違いないんだ。今回みたいに、メイリーン一人でクエストに出かけた時にその組織に襲われたりしたらどうしようもない…。だから…」
リアンディスさんは間を置いて、
「メイリーンの傍にずっといて、守ってやってくれないか…? そうしてくれるなら、僕は何でもやろう…」
そう、言った。
その目からは涙が零れていた。
俺は、口を動かせなかった。
たった一瞬で、なにもかもが変わってしまった気がしたからだ。
だが、こんなお願いをされてしまったら、断る事ができない。
ただ、目的もなく、楽しみのためだけに旅をしている。
断れば、楽しみのためだけにメイリーンさんの身を危険にさらす事になってしまう。
だから、断る事はできない。
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