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「分かりました。リアンディスさん」
――俺の旅人という職業を捨てて、承諾した。
「…!! ありがとう!!」
リアンディスさんは涙を流すほど暗い顔から一変して、元の明るい顔に戻った。
「旅人としてのゴールは、ここで良いかなぁ、と思いました。そんな依頼をされてまで旅を続ける必要はないですから」
俺は笑顔でそう言う。
「君は、なんて優しい人間なんだ…」
「そんな事ないですよ。ところで、なんで俺に依頼したんですか?」
気になるのはその事だった。
別に俺じゃなくても良かったんじゃないか、と思うのだが。
「君からは優しいオーラが感じられたからだ」
「え?」
「君なら、メイリーンを守ってくれる、そう思ってね」
リアンディスさんはそう言い、微笑む。
「は、はぁ…」
「はははっ。では、よろしく頼むよ。ルイン君」
リアンディスさんはそのまま扉の方へ歩いていく。
そして、
「メイリーンをよろしく…」
そう呟き、出ていった。
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