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みんながサーナの歌に聴き入っている。
(とても……キレイな歌……心が澄んでいくような気がする……)
ウットリと聞きほれる。
みんなの方を見ると、さっきまでの状況はどこへやら。
笑顔でサーナを見ていた。――全員が。
サーナの歌には、人を笑顔にする力があるのかもしれない。
心の底から湧き上がってくる歌は、とてもキレイで汚されることなんてない。
みんなの心にも、歌はある。――自分の歌。
気づくか気づかないかは自分しだい。
見つけられるか見つけられないかは自分しだい。
みんなの心には必ず歌がある。
その歌は、人を幸せにしたり笑顔にしたり元気にする力を持っている。
サーナは、自分の歌を見つけられた。
残念ながら私はまだだけど、すぐそのうち見つけられるような気がする。
だって――――皆と一緒だから。
ゴーランドにブラッド、エリオットにディー・ダム、ペーター。ここには居ないけれど、綺麗で残酷な女王様――ビバルディに、万年迷子のエース。根暗な、時計屋ことユリウス。病弱な夢魔、ナイトメア。
それに……横を見る。
私の愛する人、ボリス。
私の視線に気づいたボリスがニッコリ笑って私の手を握る。
最後に……私の愛娘のサーナ。
私は、すごく幸せな人間だ。
だから――――きっとすぐ見つけられる。私の歌を。私だけの歌を――――――。
目を閉じて、自分だけの歌を見つけられたサーナの声に耳を傾ける。
サーナの歌はどこまでもどこまでも空へ吸い込まれていった――。
みんな、心の中に歌を持っている。
気づくかどうかは自分しだい。
でも――忘れないで。
誰だって誰かを幸せにすることが出来ること。
誰だって絶対に一人じゃない、ってこと…………。
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