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「で、どうしようか? やっぱり、二手に分かれて探そうか? 」
「そうね……あ。ちょっと待って」
「ん? 何? やっぱり俺と離れたくない? なら二人で……」
「じゃなくて!! あのね、私、前にサーナに“迷子になったらお歌を歌うのよ”って教えたのよ」
「歌ぁ? 何でまた」
「だって、サーナの声って綺麗でしょ? お歌も上手だし……だから、お歌に心をこめて歌えば、きっと私たちは感じられるはずだから……」
「そっか。さすが俺が好きなアリス。優しいね……」
そう言って頬をペロリと舐められる。
「ひゃ……!? 」
いつものことなのだが、舐められるのはどうしても慣れない。
「ボ、ボリス、こんなとこで止めてってば。は、はやくサーナを探さないと……もしかしたら泣いてるかも……」
「大丈夫だよ。サーナはそんな弱い子じゃない」
「でも……」
「とりあえず、耳を澄ましてみよう。な? 」
「うん……」
サーナは心配だけれど、ここで私が慌てても仕方ない。
こういう時、ボリスは私より冷静に判断をする。
頼れる私の大切なパートナーだ。
しばらく二人で耳を澄ましていると、遠くから微かに歌声が聞こえた。
「……!! ボリス! 」
私がボリスの顔を見ると、同じタイミングでボリスも私の方を見た。
「アリスも? 」
「うん。微かにだけど……歌声が聞こえた。あれはサーナの声よ」
「行こう! 」
「うん!! 」
差し出されたボリスの手を握って二人で駆け出す。
歌声で呼んでいるサーナのもとへと……。
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