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「ボリス! 俺の話はまだ終わってねぇぞ!!!! 」
まだ怒ってライフルを乱発しまくっているゴーランドさん。
それと後、二人(?)ほど……。
こちらはボリスではなく、ペーターに銃を向けている。
(――帽子屋ファミリーも集結か……。)
通称:帽子屋ことブラッド=デュプレ。
帽子屋ファミリーのボスだが、いつも気だるそうにしており、基本的に物事には無関心な人。ブラッドその人が居た。
それともう一人。
こちらは、ペーターには感じない、ずっと触っていたいようなフワフワうさぎ耳を持っている、エリオット=マーチ。
元犯罪者で脱獄囚。……今はだいぶ丸くなっているのだが。
エリオットに駆け寄って耳を触りたい衝動を抑え、事の収集に意識をうつす。
このままだと、そのうちワケが分からなくなって、全員で撃ち合いを始めてしまいそうだ。
「す、ストップストップ!! 」
「アリス、危ないからサーナと一緒に下がってろよ」
止めようとした私にニヤリと笑ってボリスが言う。
「うん分かった。……じゃなくて!! 」
「アリス、ノリツッコミを覚えたんですか? 上手ですよ! 」
ペーターがはしゃいだ声で言う。
「……あんたは黙ってて」
「だから、もう顔合わせは済んだでしょ? ゴーランドさんもボリスも落ち着いて。……サーナが居るのよ?銃をぶっ放したりしないで。流れ弾が当たる可能性だってあるんだから」
その言葉(特にサーナ)が効果抜群だったらしい。
さっきまでの緊迫した空気が少し和らいだような気がする。
ありがとぉ
私の笑顔の花を咲かせてくれて
私が悲しい時はそばで慰めて、楽しい時は一緒に笑ってくれた皆だから
私も皆の心の笑顔の花を咲かせたいな
いつからか
私の心の笑顔の花を咲かせてくれていた
・
・
・
歌声が聞こえて振り向くと、サーナがベンチの上に立って歌っていた。
ボリスが近づいてくる。
「ねぇボリス。この歌もボリスが……? 」
そう訊くと、ボリスは首を横に振った。
「いや。俺じゃない。多分これは……」
『サーナの歌』
二人でハモって笑いあう。
この歌は、サーナの歌。皆の中に一つはある、心の底から湧き上がってくる歌。
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