4人が本棚に入れています
本棚に追加
それもそうだ、オレは未来から来たんだからな。
「勝手に入ったことは謝りますが、どうしても話さなくてはならない事があるんです!」
「しつこいぞ、帰りなさい!」
そのままオレは屋敷の外に追い出され、門の鍵は固く閉ざされた。
「はぁ……どうしろってんだよ……このままじゃ未来は変わんねーよ………正しき未来なんかに出来ねーよ!」
大声で叫んだ瞬間、草村から誰かが出てきた。
「どうしたの?お兄さん?」
「ミ…ミラ……」
出てきたのはミラだった、青い大きな瞳でじっと不思議そうにオレを見ている。
「あ!あのさ、お嬢様!オレ、キミに伝えなくちゃいけない事があるんだ!」
「伝えなくちゃいけない事?」
ミラがそう返した時、誰かが走って来た。
「お嬢様!離れて下さい!ソイツはお嬢様を狙っている怪しい奴です!」
さっきの老執事だ。ものすごい剣幕でこっちに走って来る。
「ちょ………オレは過去を変えなくちゃいけねーのによ!ちくしょう!」
「お嬢様、明日の朝、またここで会えるか?どうしても話さなくちゃいけない事があるんだ、頼む!」
「…………ん、分かったわ、私には分かるアナタが悪いヒトじゃないって事が。」
そう言って彼女は可愛すぎる笑顔を見せた。
「じゃーな!お嬢様!」
オレは全力で老執事から逃げ出した。
「お、お嬢様!ご無事……ですか?はぁはぁ…」
「うん、大丈夫よヴェン。アナタこそ大丈夫?」
「も、もちろん大丈夫ですとも…はぁはぁ……では、お勉強の続きを致しましょうか。」
「嫌よ!バイバーイ♪」
「お、お嬢様ぁぁぁぁぁぁ!」
老執事から逃げ出したオレはバテていた。
「はぁ…はぁ……ここってどこなんだ?なんつー街だよ、シムダルクとは雰囲気が違うしよ……まあ、過去だから雰囲気違うのは致し方ない事なんだろうけどよ…」
息を切らしながらトボトボと街を歩いていると、ふくよかなオバサンが話しかけてきた。
「あらぁ?どうしたのボーヤ?顔色悪いわよ?」
「んぁ?あぁ、何も食ってないし、走り疲れてるからなぁ……気にしないでくれ~」
そのまま歩き出そうとしたら、襟首を掴まれた。
「だったらウチで休んでいきなよ!なんか食べさせてあげるしさ!」
オバサンはニカッと笑って言った。
「はぁ、断っても意味なそうだから世話になるわぁ…」
そうしてオレはオバサンの家へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!