命の恩人

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それはそうだけど。  話さなくちゃいけないのかな?  どうしてか奏さんには知られたくなかった。  「…どうって言われても」  「…りおさん、その男、湾に沈められますよ」  「な、なんで?」  びっくりして身を乗り出したわたしを榊さんは厳しい顔をしていた。  「なぜなのか、わからないのですか?」  助手席の仁さんもちらりとわたしを振り返った。  「その男のことはいい。あんたは若のことをどう思ってるんだ?」  「どうって…」  返事に困って榊さんを見ると、  「りおさんの気持ちです」  「わたしは―――」  奏さんには感謝をしてる。  大事なひとだと思う。わたしを大切にしてくれるひとだと思ってる。 とても優しくて大好きなひと。
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