プロローグ

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僕はその時魅せられていた。 たった一人の少女に。 そして我に返り声を掛けようとした。 しかし、一足先に少女が沈黙を破った。 「君は何を願うんだい?」 あまりにも唐突な質問に僕は答えるすべもなく立ちすくんでいた。 少女は淡々と発する。 「私は君の想いと死者の魂を奏でる為に来た、言わば代弁者だよ。だからもう一度問おう。君は亡くなった両親にどのような想いを伝えたいんだい?」 「僕は」 ―いつもの自分らしくない。 「父さんと母さんに」 ―こんな電波的かつ非現実的な言葉を鵜呑みにするなんて。 「今までの感謝を」 ―ただそれでも口から言葉が出て来るのは 「ありがとう」 ―これが素直な自分の気持ちだということ。
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