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彼女は微笑み答える。
「了承した」
そして唄う。
生者の想いを乗せ。
そして唄う。
死者の魂を送る為に。
その間僕は夢を見ていた。
夢の中で父と母に会った。
2人は申し訳ないという顔をしていた。
だから僕は微笑み答える。
―大丈夫だから。
ただ一言、涙と共に。
彼女が唄い終わると雨が止み、月明かりが入りだした。
彼女は傘を閉じこちらを振り向く。
「自己紹介がまだだったね、結城亮佑くん。私はカミサマ。人々からはそう呼ばれている。遅れてしまったが初めまして。そして、」
彼女が手を出すと同時に僕も手を出した。
そしてお互い微笑み握り合う。
「よろしく」
それが父と母との別れであり、カミサマとの出会いであった。
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