1時間前の世界

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「なんであんた…」 愛ちゃんが小さくつぶやく。 ドアをガタガタと揺らす音がする。 そうだ、愛ちゃんがドアを押さえてたんだ。 「本当にいいの?」 私は、愛ちゃんの言葉に頷いたはず。 「そう…じゃあ行って」 階段を駆け降りる音がする。 もうひとりの私だ。 見つからないように、階段下でいっそう身を縮める。 駆け出していって止めたい。 エンさんは、私のことが好きなんだって教えたい。 でも、ここにいるはずのない私が出ていったら…。 パニックになるだろう。 自分の身体を抱きしめて我慢する。
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