跡取り息子

2/5
前へ
/16ページ
次へ
「楓様大丈夫ですか?もうすぐ医者が参りますからね」  それは、ちょうど昼餉前に遡る。 「楓、今日こそ真田幸村とケリ付けて来るぜ!!」  今度こそ、決着を付けたい政宗は、小十郎と兵を連れて上田城に向かう事にした。 「うん!頑張ってね。小十郎、政宗の背中よろしくね」 「無論、承知しています」 「じゃあ、留守を頼むぜ?」  政宗は、楓の額にそっと口付けをすると、素早く馬に跨った。 「Ha!楽しいPartyryの始まりのだ!!」 「Yeah!!」 「Are you ready guys?」 「Yeah!!」  士気が上がった伊達軍と政宗、小十郎を見送った楓は、見えなくなるまで、立っていた。 「ささ。楓様、もうすぐ昼餉ですから中に」 「うん、……ねえ椿……」 「はい?」  中に入ろうとした椿に、楓は呼び止めて、心の中にある小さな不安を口にした。 「政宗や皆は大丈夫だよね?」  どこか不安気で、今にも泣きそうな、楓を見た椿はーー 「大丈夫ですよ、伊達軍は強いですから」 「うん……でも……」 「楓様、あんまり不安になると、体に障りますから、中に入りましょう」  椿が中へと楓を促し、楓が中に入った瞬間ーー  バタッ!!
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加