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森内が中に入り、楓の横に座ると、椿が先刻の出来事を話した。
「解りました、それでは、診て診ましょう」
数分後、診察を終えると、医者の森内は、椿の方を向いた。
「それで、森内殿、楓様はいったい何処が悪いのですか?」
「楓様は……」
「楓様は?」
ドキドキしながら聞きなおした椿は、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「楓様は懐妊なされています」
「……はい?」
暫くの沈黙が走った。それもそのはず、まさか楓が懐妊しているとは椿は思いもしなかったのだ。
「ふ、ふ、ふざけるんじゃあないわよ!!テメーこの惚け医者が!!」
伊達軍の者は気性が激しい、普段は穏やかだか、主の嫁である楓の事になると、皆何故か正気を失うのだ。
「姉上!落ち着いて下さい、楓様のお体に触りますから」
「これが落ち着いて居られますか!!楓様はお倒れになったのですよ!?それをこの医者は~~~!!」
椿は森内の襟をさらに絞め前後に揺らし、妹の桜は姉の椿を必死に止め、医者の森内は泡を吹き白目を向いて気を失いかけていた。
「ま、まだ話が、これからが、だ、大事な話なのです-----」
「それを早く言いなさい!!!!」
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