母は強し

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 ーー数年後。正宗と楓はめでたく結ばれ、女児を授かった。其の赤子は(桔梗)と名付けられた。  「Ahー! やっぱり桔梗はPyettyだな」  そう言って親バカ宜しく、顔を緩ませ我が子を抱えるのは父親になったばかりの伊達政宗、その人だ。  「あはは。何言っての! それ、かなりの親バカ発言だよ?まあ、親の贔屓目なしに桔梗は可愛いけどね!!」  楓はそう言ってそう言って二人に近付くとプニッとした桔梗の頬っぺたをつんつんと突く。  「HaHa! 楓も人の事言えないじゃねぇか!」  「それは当たり前でしょ? 私と政宗の愛の証だもの。誰よりも愛しくて可愛いわよ!」  桔梗を政宗から自分の腕へと抱え直し、ふわりと笑みを浮かべる。其の微笑みは慈愛に満ち溢れ、母としての顔つきだった。  政宗は楓を後ろから抱き絞め、肩口に顔を埋める。  「……? どうしたの?」    「……いや……。母親の顔だな、と思ってな」  政宗がそう呟けば、楓がクスリと小さく笑った。  「政宗だって桔梗の前だとちゃんと父親の顔をしているわよ?」  桔梗を抱き、両手が塞がっている為、政宗を抱き絞め返せない変わりに、楓は自分の肩口に有る政宗の頭に頬を擦り寄せた。
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