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誰にも相手にされず、一人しゃがみ込み、ポソリと呟けば。
「……あれ?お前、何時から居たの?」
「…………最初から居たっス……」
やっと気付かれたと思えば、佐助の其の一言にさらにどん底に突き落とされた鉄心だった。
そしてやはりと言って良い程、段々とヒートアップしていく桔梗の奪い合い。始めはキャッキャッと、嬉しそうにはしゃいでいた桔梗も何度も行き来する腕の不安定さと頭上で飛び交う怒声に、徐々に其の顔を歪め始める。
「……ふぇ」
桔梗は小さな泣き声を上げるも、それに気付かずに奪い合いは続く。小十郎は小十郎で、止めるのに必死で桔梗の変化に気付いていなかった。
だが、楓の横で寝ていた元親がムクリと起き上がり。
「……楓、向こうに行っとくぜ」
「うん。」
元親は、そう言うと奥の部屋へと行った。すると、元親が奥へと行った瞬間。
「……ふぇ、ぇ、ぁ、ぅぁぁぁああああああんっ!!!」
遂に桔梗は大声を上げて泣き始めてしまった。
桔梗の泣き声にやっと我に返るも、どうやってあやして良いのか分からず、ただ狼狽えるばかり。わたわたとしていると後ろから感じる威圧感。
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