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ゆっくりと振り返ると怒りを露わにした楓の姿。
「……何しているのよ!!桔梗を泣かせてっ!」
楓は、桔梗を引ったくる様にして、政宗から奪い返すと、未だぐずってはいるのものの、幾分か落ち着いてきた桔梗にホッと息を吐く。顔を上げ、キッと眼前に立ちすくむ政宗達を睨み付ける。
「全く!ぐずり始めてる桔梗にも気付かないで下らない争いを続けてっ!揚げ句、大声させるなんてっ!
ーーーー……反省して来なさい!!!!」
キレた楓の声は奥の部屋で茶を飲んでいる元親の所まで聞こえた。
「楓姉。キレたねぇー」
「ああ。触らぬ神に祟りなしだな。」
と、成実が持って来た茶菓子を、二人でのんびりと食べていた。
庭では、キレた楓に屋敷から追い出されてしまった政宗達。
余りの勢いに呆然としていた面々も、バタンと閉じられた門戸に我に返る。
「ちょ、楓!?」
「楓ちゃん!?」
「楓殿!?」
「楓様!?」
「お、俺は関係スー!?」
どれ程呼び掛けても、ピッタリと閉じられた門戸は開かれる事はなく、内側から施錠された事もあり、押してもガタン、という鈍い音が響くだけで開ける事は出来なかった。
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