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「ボ、ボクた――」
「もう、いいよ。詠ちゃん」
「……月」
「黒田さんのいう通りだよ。
私達は朝敵になっちゃったんだ」
「そんな……それじゃ、なんのために月は、ボク達は漢朝に尽くして……」
賈駆が床に座り込んだ。
董卓達は涼州の辺境の地を治めてきた。
北方の遊牧民との争いが絶えない土地である。
董卓は元々力を持たない下級貴族だ。
漢朝の命令で西涼という辺鄙な土地で北方の遊牧民達と日々戦に明け暮れ、少しずつ少しずつ勲功を重ねてきた。
それも全ては漢朝への忠誠心からだ。
しかし、彼女にはもう何もない。
漢朝に全てを奪われたのだ。
そして、魔王が囁く。
「ならばこそ、俺の下に来い。
漢朝などに縋(すが)るな。
そんな、守られるだけの帝に価値などない。
縋りたいなら俺に縋れ。
俺はお前達が欲しい」
「むきゃーーっ!!
こいつ、恋殿に色目使ってやがりますぅ!
お、お離しくだされ恋殿!!
今こそ!
今こそ奴に陳宮キックをぉぉ!」
「……陳宮、めっ」
いきなりの空気ブレイクに黒田が振り返ると、陳宮が呂布に羽交い締めにされていた。
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