両雄、会い見える。

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黒田は部屋から出て中庭まで歩くと立ち止まる。 「浅葱」 「いるぜ?」 周倉が屋根の上から黒田の隣に飛び降りる。 黒田は前を向いたまま、周倉に話しかけた。 「たまには上以外から来れないのか?」 「あたしの独自性に反するぜ」 「よくそんな難しい言葉知ってたな」 「照れるぜ」 「照れるな。 それより董卓軍が傘下に入った。 漢中に駐屯している田豊達に伝えてくれ。 至急、虎牢関に急行せよ。 虎牢関にて連合と雌雄を決する」 「了解だぜ」 周倉は一言そう言うと、屋根に飛び乗り西へと翔ていった。 ◆◆◆ 初平2年2月。 泗水関から数里離れた所にて反董卓連合は軍義を開いていた。 勿論、俺、北郷一刀もこの軍義に参加していた。 軍義の内容は泗水関に対してだ。 物見に出した兵が言うには城壁に一人の兵もいないとのこと。 何らかの策である可能性が高く、それについて軍義を開いていたのだが、事態はそれ以上に厄介な事になっているようだ。 軍義の最中にある国の使者を名乗る者がやって来たのだ。 その国の名は黒蜀。 使者の名は徐庶元直だ。
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