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「徐庶、返事は袁紹殿と合流してから返す事になるけど良いかしら?」
「いえ、その場合は返す必要がありません。
王からは二つ返事のない場合は即刻帰るように仰せつかっております」
まるで全てを見透かすような曹操の視線と、穿ち射ぬく冷徹な徐庶の視線が交差した。
静寂。
その静寂を破ったのは曹操だ。
「そう。
分かったわ。
誰か!誰か居らぬか!」
「はっ!ここに!」
天幕の外より、徐庶を連れてきた兵士が入ってくる。
「使者殿がお帰りよ。
門前までお送りなさい」
「はっ!
それでは、使者殿こちらへ」
兵士に連れられ天幕を出る徐庶をやきもきしながら見る者がいた。
勿論、先程から根本的な間違いに気づかないまま一人熱くなっている男。
天の御遣いこと北郷一刀のことだ。
孫策は側でやきもきする一刀にため息をつく。
「そんなに気になるなら一刀も送ってくればいいじゃない」
「え?いや、でも雪蓮を置いてくわけにはいかないだろ」
「いいわよ。
袁紹も袁術ちゃんも行っちゃったし、軍義ももう終わるわよ」
「そうか、じゃあ俺行ってくる」
そう言って駆け出す一刀の後ろ姿を孫策は見送った。
「世話焼きで分け隔てなく優しい所は一刀の長所だけど」
そこで1つため息。
「こっちの身にもなって欲しいわね」
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