両雄、会い見える。

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ここまでは計画通りだった。 しかし、後に袁紹が思いもよらぬ行動に出た。 小帝の名を使って袁紹派だった曹操や劉備等の自領付近の領地を次々と召し上げたのだ。 これに慌てたのは他の袁紹派の者達だ。 彼らは次々と袁術に鞍替えし、袁術はその者達を、特に孫堅を多用し、目の上のたんこぶだった荊州の劉表を攻めさせた。 その結果、荊州を落とすのも後一歩というところで孫堅は戦死し、その混乱に乗じて袁術は荊州と揚州を手に入れた。 そして今、曹操が大軍を引き連れ目の前にいる。 劉備は袁紹の食客となったが、それは曹操のプライドが許さなかったのだろう。 「ねぇ、黒田 貴方にとって、覇王とは何?」 「頭悪いから哲学的な物は嫌い何だが、そうだな。 強いていうなら、姑息を嫌い、勇気と挟気を持って、死中に活を見出だす者だ。 逆に聞くが、曹操にとって覇王とは何だ?」 「世間に対し、天に対し、常に己の能力を誇示し、器量を見せつける、それが覇王よ。 少なくとも、私はそうして来た。 覇王、曹操孟徳を天下に知らしめてきた」 しかし、彼女はもう王ではない。 領地を召し上げられた彼女は国を持たない。 国、無くして王は存在出来ない。
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