両雄、会い見える。

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「決まってんだろ。 魔王として、魔道を歩む」 「…魔…道……?」 「ああ、そうだ。魔道だ。 そもそも、お前らは王道だ覇道だと手段を選び過ぎなんだよ。 気付けよ、頭良いんだから。 王道は仁義という手段に重きを置くし、覇道は覇道で武力や権謀、風格という手段に重きを置く。 結局、目的より手段を重要視するお前らに、目的の為なら手段を選ばない俺が負ける筈がないだろ。 今、ここで断言しよう。 大陸統一という目的の為なら、己すらも駒とし。 王道も覇道も邪道も内道も外道も全てを呑み込み、必要ならば扱う。 それが! この俺、魔王が歩む。魔道だ」 ◆◆◆ 黒田の言葉に気迫に信念に、曹旗を掲げていた兵が息をのみ、思わず曹旗を落としてしまう。 その兵だけではない。 疲弊しながらも、意思を瞳に宿し、漲らせ、精兵といわれた曹軍の兵達は、その意地をみせ、ここまで曹操に付いてきた。 しかし。 皆その空気に呑み込まれた。 声が出ない。 理解し、納得したのだ。 これが魔王だと。 噂に違わぬ。 とんでもない化物だと。
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