両雄、会い見える。

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そして、曹操も全身で、肌で感じ取っていた。 英雄と後に呼ばれる、ごく一部の者が発する覇気やオーラとも言うべき何かを。 そして、王としての品格を、黒田から感じたのだ。 「それが、貴方が歩む道?」 「ああ、そうだ。不服か?」 「そうね。及第点かしら」 そう言って微笑む曹操の笑みは、今までのような薄く浅いものではなく。 彼女本来の柔らかなものだった。 ◆◆◆ 初平4年(194年)10月。 黒蜀に曹操軍が参軍。 洛陽を曹操に任せると黒田は成都城に帰還した。 翌月、涼州でも義の士と知られる馬謄と会談を行い、これを説き、涼州を傘下に加えた。 成安元年(195年)1月。 年号を成安に改める。 こうして、ここに三国が成った。 袁紹の北漢。 袁術の南漢。 黒田の蜀。 しかし、これは新たな火種の始まりであった。
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