政略結婚と、張任の思い出。

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淮南の地。 袁術のお膝元とも言えるこの地に、袁術の食客である孫策の屋敷がある。 今、その屋敷の中庭には孫策・孫権・孫尚香・周瑜・黄蓋・陸遜・甘寧・周泰・呂蒙と、孫呉の英傑が揃っていた。 そこに一人の男が近付いてくる。 「ごめん。遅れた」 天の御遣い、北郷一刀だ。 孫策は北郷が輪に加わるのを確認すると、皆を見回した後、周瑜に向けて口を開く。 「それじゃ、一刀も来た事だし、孫呉の再興の為に、例の計画を話してくれる?冥琳」 「そうね。 正直、私としては最低最悪なこんな手段を提示したくはないけれど、そうも言ってられなくなってきたわ」 「そうも言ってられなくなってきたって?何かあったのか?」 北郷の言葉に孫策がため息をつく。 「一刀、この前の戦で元劉表軍の残党は片付いたでしょ? 残る勢力は北の袁紹と西の黒田。 今、袁術ちゃんは袁紹と小規模の小競り合いを頻繁にしていて、手の空いた私達が次にやらされる事は?」 「黒田と戦?」 「まぁ、そうなるでしょうね」 「いや、でも俺達だけで黒田と戦えなんて流石に……」 「言わないと思う? 軍の疲弊に気づきながらも母様に戦わせ続け…………殺したあの子達が」 孫策の言葉に北郷はバツが悪そうに口をつむった。
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