政略結婚と、張任の思い出。

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孫堅文台。 またの名を『江東の虎』。 孫策や孫権、孫尚香の母親にして、17の頃には海賊退治でその名を世界に知らしめた女傑である。 2年前、荊州の劉表は皇室の一門だったため小帝を担ぐ袁紹につき、袁術は孫堅にこれを攻めさせた。 荊州は広大な土地を擁し、交通の面から見ても要地である。 袁術、いや、彼女の参謀である張勲がこの地に目をつけたのはそのためだ。 そして、あわよくば劉表と共に、いつ何時寝首を掻くかもしれない人食い虎を殺してしまおうという狙いもあった。 張勲の思惑通り孫堅は敵の策略に嵌まり、落石にあって戦死し、瓦解した呉軍は袁術軍が吸収した。 そして。 孫呉の再興。 孫家の悲願は孫策に受け継がれた。 袁術から独立し、呉を再興する。 それは、現状から見れば余りにも不可能な願いだ。 しかし、全ては呉の為、孫一門の為。 袁術に利用されるか、飼い殺されるか、今のこの現状を脱する為の苦肉の策。 周瑜が口を開く。 「孫家が魔王と縁者になる事だ」 「なっ!? そ、それって!」 北郷の驚きの声に、周瑜は頷き答える。 「ああ、そうだ。政略結婚だ」
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