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「ちょ、ちょっと待って
他に、他に何か策があるだろ?」
北郷の縋りつく言葉に、周瑜はため息まじりに答える。
「あったら実行しているさ。
そもそも、袁術から独立するだけならば手が無いわけではない」
「じゃあ!」
「だからと言って実行は出来ないんですよぅ。一刀さん」
陸遜の間延びした声が北郷の言葉を断る。
そして、陸遜に続いて呂蒙が口を開いた。
「独立の為に動いてしまえば、どんな手を使ったとしてもこの南漢が一時的に乱れる事は自明の理です。
そして、北漢と黒蜀がそれに乗じて攻めこむ事は明白です」
「つまり、一時的に独立は出来るが、その時に起きた混乱で北漢と黒蜀を招き入れ、どちらかの勢力に占領されるってことさ」
周瑜がそう締めると、北郷は納得はいかないまでも、反論を口には出来なかった。
北郷も物分かりが悪いわけではない。
黒蜀は今や大陸の半分以上を手にする大勢力だ。
そして、魔王は自ら服従する者にたいして寛容だ。
それは、南蛮王が降った後も南蛮の統治を任されていることや、馬一族がそのまま涼州を、曹操に洛陽を治めさせている事からも分かる。
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