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「もー、冥琳。
大きな声出さないでよ」
孫策はうるさいなと言わんばかりに指で耳栓をする。
「大きな声も出すわよ。全く」
はぁ、と周瑜はため息をつき眼鏡を押し上げる。
そして、今まで傍観していた孫権が拳を握り口を開いた。
「姉様、冥琳の言う通りです。
ここは、私が……」
「ダメよ!」
孫策の一際大きな声が孫権の言葉を断り、諭すように話す。
「それは、ダメ。
蓮華、貴女は一刀と二人、これからの呉を担っていくの。
そうじゃないと、私が困るの。
だから、ね?
お願い。聞き分けて?」
「姉様……」
孫権は黙ってしまう。
黙るしかなかった。
孫策の、言葉には出さない胸の奥底が垣間見えた気がしたのだ。
「だったら、シャオが行く」
孫尚香の言葉に、この場にいる全員が固まる。
言ってはなんだが、孫尚香は見た目も中身も子供なのだ。
「仕方ないよね。
雪蓮姉様も蓮華姉様も嫁ぐ訳にはいかないんだから、シャオが嫁ぐしかないよ」
まるで何でもないように言うが、それが確かな覚悟の上での強がりであることは、長い付き合いである二人の姉には分かっていた。
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