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周瑜は孫策の背中を見送ると、その場にいる者達に命令を下す。
命令内容は単純明快。
端的に一言で言うと、
「引っ越しの準備」だ。
◆◆◆
黒蜀。成都城。玉座。
新年を迎えると同時に年号を成安に改めた今年、城下町の新年の祭りも前年以上の盛り上がりを見せ、大いに沸き立っていた。
それから二月たち、すっかり平穏の様相に戻り、新年の挨拶に来ていた諸侯も自領に戻って久しくなった頃、ある報せが届いた。
「そうか、孫策が江陵に入ったか」
「はっ!その数は8万です!」
益州を平定してからはフ城の守りに就かせていた桔梗(厳顔の真名)が部下を寄越してきた。
内容を聞く限り、どうやら袁術は北漢ならず俺達黒蜀にまで手を広げるようだ。
「遠路遥々ご苦労だった。
今日はゆっくり休むと良い」
「はっ!有り難き御言葉!」
桔梗の部下は深く頭を下げると、玉座の間から出ていった。
俺はそれを見送り、息を大きく吸って、吐く。
「あれから10年過ぎたな」
俺の漏らした呟きに臥牛山の誓いを思い出しただろう黒田軍結成時のメンバーが頬を緩める。
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