2459人が本棚に入れています
本棚に追加
◆◆◆
10年前、それはまだ黄巾賊が世に蔓延り、暴虐の限りを尽くしていた時の事だ。
ここ、益州も例に漏れず黄巾賊が村を襲い、その被害は計り知れない程だった。
そんな中、益州のある村で一人の少女が立ち上がった。
水干と呼ばれる狩衣を着て、身の丈程もある大薙刀を背負う。
少女の名は、張仁。
字はなく、真名は茜。
先日旗揚げした義勇軍のリーダーで、各地を転戦していた。
そんな中、官軍と黄巾賊が戦っていると聞き、急いで戦場に向かった。
戦況は火を見るより明らか。
旗色は圧倒的に黄巾賊が勝っていた。
こうしてはいられないと、張仁は直ぐ様命令をだし、黄巾賊の中腹に突撃した。
突然の奇襲に黄巾賊は混乱し、隊の収拾に手を焼いていた賊のリーダーを張仁が討ち取ると、黄巾賊は蜘蛛の子を散らす様に逃げていった。
これに喜んだ官軍の将軍は、直ぐに部下を使って張仁を呼び寄せた。
勿論、官軍の部隊を指揮する将軍は自軍を助けた軍のリーダーに礼と褒美をとらせる為に張仁を呼ばせたのだが、ここに1つ思い違いがあった。
この将軍は張仁達を同じ官軍だと思っていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!