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「義勇軍……だと?
それでは貴様らは無位無官の民兵ということだな?」
「はい」
張仁の返事に、その将軍は肩を震わせると、張仁を呼んだ兵士の胸ぐらを掴み上げ、殴り飛ばす。
「馬鹿者が!!
貴様のせいで下げなくていい頭を下げる所だったではないかっ!!」
張仁は目の前で起きている光景に愕然とした。
将軍と呼ばれた男は今も殴り飛ばした兵士を、荒い息を出しながら踏み潰す等の暴行を加えている。
そして、張仁の視線に気づいたのか、張仁を見ると兵士を踏みつけながら、吐き捨てる様に言ったのだ。
「民草の女郎風情がっ!いつまでも!儂の天幕に!居座るんじゃない!」
頭の回転が速い張仁は、直ぐに将軍が激怒した理由が分かった。
体面である。
元は、流民飢民の烏合の衆である黄巾賊に破れそうになった所、それを助けたのは同じく元は民の民兵。
将軍は朝廷内で笑い者だろう。
それを思うとむしゃくしゃして、兵士に八つ当たりをした。
そんな所であろう。
兵士には可哀想だが、自分ではどうする事も出来ないと、張仁は一礼して天幕を出た。
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