政略結婚と、張任の思い出。

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黄巾賊の勢力は益々拡大し、それに比例して被害も増大した。 黒田軍の事を聞いたのはそんな頃の事だ。 黄巾賊を降しては兵として引き入れる。 その黒田軍のスタンスに、張仁は怒りを覚えた。 賊の所業を思えば殺すべきだ。 そうでなければ、被害にあった者達が浮かばれない。 親を兄弟を友を恋人を、失った者達の思いは1つ。 奪った者達の死だ。 それでのみ溜まりに溜まった溜飲を下げる事が出来る。 それは、黄巾賊に家族を殺された張仁自らの気持ちでもあった。 だからこそ、黒田軍のやり方には憤りを感じたのだ。 民の思い、気持ちを無視した行動に、張仁は居ても立っても居られなくなった。 彼らは民を救うために立ち上がったのではないのか? 張仁はその疑念を抱き、軍を動かす。 黄巾賊という賊徒に大陸が脅かされる今、黒田軍という1つの軍隊がどういう目的で立ち上がったのかは知らないが、黄巾賊賊徒を軍にいれている限り、彼等の目的はまともな物ではないだろう。 いずれ、第2の黄巾賊になりかねない。 勢力が小さい今のうちに芽は摘んでおこう。 全ては民のために。 ◆◆◆
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