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黒田軍がフ江へ向かったと聞いた張仁はすぐさま軍を転進させフ江へと向う。
そして、それはフ水関に差し掛かる数里前に聞こえてきた。
激しく鳴り響く銅鑼の音と怒号。
戦だ。
直ぐ近くで戦が起きている。
黄巾賊かっ!?
張仁は思い至ると軍を動かす。
間道を抜け、山道に入り、木々を抜けた先には崖。
そして、崖から下の峡道を見下ろす数騎の騎兵と百数人の歩兵。
官軍には見えない。
それにしては、装備が余りにも粗末だ。
黄巾賊でもない。
彼らは黄色い布を巻いていない。
では、彼らは?
そんな疑念を抱きながらも張仁は近いていく。
それに伴い後ろの軍も近づき、流石にその部隊を率いていたその男も張仁達の接近には気付いていたようで、声が届くそれなりの距離になった時に、見計らったように振り返った。
その男。
黒髪黒目。
大兵肥満。
毛深く、熊のような男だ。
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