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「そうか。
正論だが、俺が聞きてぇのはそんな通り一辺倒の答えじゃねぇんだよ」
黒田は続ける。
「それは本音か?本心か?
俺にはそう自分に言い聞かせてるようにしか見えねぇな」
能面が剥がれ、後の魔王としての本性が現れる。
ただ、張仁はそんな事は気にせず激昂した。
貴様に某の心の内が見えるのかッ!
と、激昂した。
犬歯を剥き出し、張仁の表向き冷静なその態度をイメージを一変させる程の、荒れた怒声だった。
しかし、黒田は揺るがない。
「知るか。覗く気もねぇよ」
黒田の回答は端的だ。
「俺が聞きてぇのは書物を紐解いたら乗ってそうな意見なんかじゃねぇ!
張仁自身の感じた心内を聞きてぇんだよ!」
「某の……心内?」
張仁の中で走馬灯の様に様々な出来事が甦った。
村が襲われ、家族が黄巾賊に殺されたこと。
官軍の将軍が部下をなぶっていたこと。
黄巾賊を数え切れないほど殺したこと。
そして、あの賊の頭の言葉。
『同じ民の兵が……。
敵を、見誤ってんじゃねぇよ…』
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