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さて、そろそろ現実逃避も終わりにしよう。
手短に言う。
今さっき俺は死んだ。
モテたいがために始めた筋トレのメニューの一つ、ランニング中の出来事だ。
家から3キロ離れた所に山があり、そこで良く走り込みのようなことをやっているのだが。
出たのだ。猪が。
しかし、たかが猪と侮る事なかれ。
猪の戦闘能力は意外に高い。
まるで自動車のようなスピードで突っ込んで来るのだ。猪が。
とっさの事で俺もどうすることも出来ず、鳩尾に入り、俺の身体は人形のように撥ね飛ばされ、山を転がり落ちた。
そして次に気づいた時にはこの白い空間だ。
なるほど、テンプレか。
好きな授業以外はモバゲーの小説を読んでいる俺としては既にお馴染みだ。
さて、そろそろ神様が現れてチート転生ルートとなるのか?
「ふむ。起きたか愚民よ」
俺、愚民呼ばわりです。
「挨拶も返せんのか。
これだから愚民は片腹痛し」
絶対片腹痛しの使い方間違えている。
こいつ実は国語力0だな。
「我が名はチョシャという。貴様にとって神のような存在だ」
やはり神だったか。
それにしてもチョシャ?
著者?いや、まさかな。
「早速、本題に入ろう。
もう気づいていると思うが貴様は既に死んでいる」
やはり。
そんでテンプレなら目の前にいるこいつが……
俺の視線で気づいたのだろう。
チョシャは鼻を鳴らすと、見下すように言い切った。
「まぁ、どうでもいいことだが貴様を殺したのは我だ」
「なっ、どうでもいいって!!」
「静まれ愚民。
貴様に発言権はない」
あまりの事に黙ってしまう。
チョシャは俺の事など気にした風もなく、ただ淡々と自分の言いたい事を言う。
「我らの間では最近、己が管轄の世界の人間を別の世界へ送るのが流行りでな。
貴様に力を3つ与え、早速別の世界に飛ばそうと思う」
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