臥牛山より、安住の地へ。

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宴会が行われた翌日の事だ。 黒田軍メンバーは適当な空き部屋で、地図を広げて作戦会議を行っていた。 「それにしても、崔毅はよく地図なんて持ってたな」 この時代、地図は易々と手に入る物ではなく、分かりやすく詳しい地図となると価値は計り知れないものだ。 「都を離れる時に一緒に持ってきた物の1つですよ、殿」 崔毅は以前宮廷に使えていたが、十常侍の専横に嫌気が差し山奥で隠遁生活を送っていたそうだ。 この地図は当時宮廷で使っていた物なのだろう。 「さて、作戦会議を始める前に、ここ何処?」 「はぁ……兄貴…」 「おい、王甫。 そんな残念な物を見るような目で俺を見るな」 「僕達がいる山は臥牛山。ここです。」 そういって陳登が示す所は豫州。 因みに、曹操の本拠地となる許都も豫州である。 「なるほどなー。 大陸全土の勢力図って分かるか?」 「どうぞ、兄貴」 そういって違う地図を出したのは王甫。 「そのような話が出ると思って、昨夜の内に皆で作っときました」 仕事が早くて助かる。 「あたしは聞いてないぞ!?」 「姉御。人には向き不向きがあります」 「それ、遠回しにバカにしてねぇか?」 「いえ、ストレートにバカにしてます」 「梔子ーーーっ!!」 暴れる浅葱を抑える時に、事故をよそって胸を揉んだのはここだけの話。
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