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「哲也殿ーーっ!!」
前方から凄まじい速度で浅葱が駆け寄ってくる。
今、俺達は荊州の襄陽を数十里西へ進んだ所を歩いていた。
浅葱にはその俊足、水泳技術、武力等の身体面に関しての多才さを生かし、斥候のような事やってもらっているのだ。
「どうした?
浅葱。何かあったのか?」
「こっから数里先にそれなりの屋敷があったぜ」
「ここ、郊外より外の山中だぞ?」
「あたしに言われても困るぜ。
文句なら建てた奴に言いな」
相変わらずな荒っぽい物言いだが、数日前の宴会時の余所余所しい硬さは抜けていて少し安心。
「兄貴、そろそろ日も傾きますし出来れば泊めてもらいましょう」
確かに、暮れてからじゃ遅いしな。
「んじゃ、浅葱案内してくれ。
泊めて貰えるようお願いしないとな」
「おう、こっちだ」
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