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水鏡先生こと司馬徽先生は襄陽では名の知れた学者だ。
多くの門下生を持ち、かの有名な伏竜こと諸葛亮孔明、鳳雛ことホウ統もまた司馬徽に学んだ者といわれている。
まぁ、そんなすごい人と今俺達は食卓を囲んでいるわけだ。
「黒田熊熊と申されたかな?」
「はい」
「黒田殿は襄陽の方から来たとか」
「はい。正確には豫州ですが」
「何故荊州に、それも新野に近い片田舎に?」
「益州に向かっている途中でして」
「ほう、それで道中にあるわしの屋敷に立ち寄られたと」
「はい。何しろ急ぎの強行軍だったもので助かりました」
「ほっほっほっ、かまんよ。
それより、立ち入った話でなければ何をしに益州に参るのか。
聞かせては貰えぬか?」
そういって、目の前のお爺さんは朗らかに微笑む。
この身なりのいい好好爺が水鏡先生だ。
水鏡先生程の賢者なら、この時世で益州に行く意味を分かってて言ってんだろうけど、ちょうどいい今度のためにアドバイスでも貰おう。
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