黒田、将を欲する。

6/12
2458人が本棚に入れています
本棚に追加
/223ページ
◆◆◆ 水鏡先生こと司馬徽先生は襄陽では名の知れた学者だ。 多くの門下生を持ち、かの有名な伏竜こと諸葛亮孔明、鳳雛ことホウ統もまた司馬徽に学んだ者といわれている。 まぁ、そんなすごい人と今俺達は食卓を囲んでいるわけだ。 「黒田熊熊と申されたかな?」 「はい」 「黒田殿は襄陽の方から来たとか」 「はい。正確には豫州ですが」 「何故荊州に、それも新野に近い片田舎に?」 「益州に向かっている途中でして」 「ほう、それで道中にあるわしの屋敷に立ち寄られたと」 「はい。何しろ急ぎの強行軍だったもので助かりました」 「ほっほっほっ、かまんよ。 それより、立ち入った話でなければ何をしに益州に参るのか。 聞かせては貰えぬか?」 そういって、目の前のお爺さんは朗らかに微笑む。 この身なりのいい好好爺が水鏡先生だ。 水鏡先生程の賢者なら、この時世で益州に行く意味を分かってて言ってんだろうけど、ちょうどいい今度のためにアドバイスでも貰おう。
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!