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「国を興すためです」
……ちょっと直接過ぎた。
さっきから、横にいる王甫が『兄貴にはガッカリです』って目で見てくる始末。
「ほう?その意味を分かって言っておるのだな?」
温和に緩んでいた水鏡先生の目も、鋭く細まる。
別人と言われても納得する程の冷徹な眼差しだ。
「…………勿論です。
分不相応な望みであることも、官敵になることも。
しかし、国を憂いているだけでは、世を嘆いているだけでは何も変わらない。
誰かが何とかしてくれる?
誰かがどうにかしてくれる?
そんな迷い言はたくさんだ!
誰かなんていやしません。
いるのは己だけです。
水鏡先生。
俺は間違ってますか?」
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