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「これこれ、黒田殿が困っておろうが。
陳岑(ちんしん)、お主はわしの隣に座りなさい。
単福(ぜんふく)、お主は夕飯の準備を」
甲冑を纏った少女、陳岑は渋々と水鏡先生の隣に座り。
取り次いでくれた少女、単福は慌てふためいて扉の奥へと消えていった。
水鏡先生は続けて言う。
「この者の名は陳岑。江夏より主君を探す旅をしていた浪人じゃ。
お主らを案内した者の名は単福。わしの門下生じゃ。
訳ありのようでな、帰る家がないというので住み込みでわしの世話をしておるよ」
成る程、あの鈴は単福ちゃんを呼ぶための物か。
「黒田殿、お主のまわりには優れた人物がいるようじゃ。
政治家にしても、知略家にしても、武人にしてもな。
しかし、国を興し漢朝と渡り合うには、戦をするには些か武人が少ない。
此れから増えるにしてもな」
それは前から思っていた事だ。
それに、優れた部下は多すぎるに越したことはない。
「どうじゃ?陳岑と単福を配下に加えてみては」
「勿論。そのつもりです」
「本当っすか!?旦那!」
「ああ、宜しく陳岑」
「うっす!この陳岑!
旦那の為なら命張るっす!!」
「お、おう。程々にな」
陳岑の言葉がちょっと嬉しかったのは内緒だ。
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