黒田、将を欲する。

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◆◆◆ その後、水鏡先生の計らいで生前来だから数日ぶりの風呂を堪能し、これまた数日ぶりの寝台での就寝となった。 風呂に入った時に気づいたんだが、湯面に写った俺の髭面の悪党ぶりには驚いた。 剃ってないから仕方ないとはいえ、無精髭の酷いこと。 王甫に「剃った方が主君としての第一印象はいいかな?」と聞いたとこ。 「いえ、剃っても剃らなくても兄貴の第一印象は最悪なので気にしなくて良いです」 と、返された。 泣きたくなった。 そして、翌日。 現在。 水鏡先生宅の門前。 俺たちはお世話になった礼を言い。 単福ちゃんと水鏡先生との微笑ましい別れのやり取りの様子を、端から見て和んでいた所だ。 涙を滝のように流しながら、単福ちゃんが俺の方にやって来た。 腕でゴシゴシと目元を拭い、笑いかける。 「ゆーさま、お待たせ」 「ゆーさま?」 「熊熊さまだからゆーさまだよ?」 成る程、生前に後輩から良く言われた『哲っちゃん先輩』みたいなものか。 「単福はもういいのか? 水鏡先生に言い残したことは?」 「大丈夫。今生の別れでもないから」 「そうか」 「黒田殿」 水鏡先生が声をかけながら歩み寄ってきた。
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