両雄、会い見える。

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だけどそれには王甫と話し合う必要がありそうだ。 ここ最近慣れてきたとは言え6年前まで高校生だった俺は内政面の殆どを王甫に任せていた。 そして、その王甫は今は動くべきではないと進言している。 ここ数年は富国強兵策をとり、力を蓄えるべきというのが王甫の意見だ。 最もな意見。 だが、董卓陣営を自陣に取り込みたい。 そう思う俺は欲張りだろうか? いや、欲張りだな。 この世界を統一する気でいるんだから。 「哲也殿っ!」 「っにゃ!?」 その時、いきなり天井から浅葱が隣に降ってきた。 美以が驚くのも無理もない。 「いきなり現れるな焦るだろ」 「何だ哲也殿、あの有名な諺を知らねぇのか?」 「嫌な予感がするけど聞いてやろう」 「壁に耳あり、障子に目あり。 天井にあたし有りだぜ!」 「知らねぇよ、特に後半!」 「いや、天井に浅葱ありだと語呂が悪ぃだろ?」 「対して変わらねぇよ!」 「障子にメアリーでも可だぜ!」 「誰だメアリー! そんなの俺が許すか!」 はぁ、はぁ、と久しぶりの突っ込みに疲れている所、どこか満足そうな浅葱が懐に手を入れて何やら探しているようだ。 「お、あったあった」 そう言って出したのは書簡だ。 「梔子からだぜ」
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