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「そんな、迷惑なんて掛けられないから」
「途綺、家事は得意?」
「え?」
唐突に何を言い出すのか。
キョトンとする途綺を余所に友斗はもう一度「家事は得意?」 と聞いた。
軽と暮らしていた時も家事は全部途綺がやっていたから家事は得意だ。
コクン、と頷くと友斗は首を軽く傾げる。
「和食作れる?」
「味の保証は無いけど…」
「掃除好き?」
「まあ…」
「じゃ、OK。俺、家事とか苦手でさ。此処に住む代わりに途綺がやってくれよ。な?」
「で、でも…」
「一人で暮らすには、この部屋少し広くてさ。寂しいなーと思ってた所なんだ」
だから、途綺が一緒だと嬉しい。
そう、笑顔で話す友斗に途綺は、
「…一緒に、暮らしていい、の?」
「途綺さえ良けりゃ」
帰る場所も行く当てもない。
友斗の申し出は途綺にとっては有り難い物で。
軽を忘れるのには、まだまだ時間が掛かる。
「…よ、よろしくお願いします」
「よろしくお願いされます!」
でも友斗が傍に居るなら、軽の事も吹っ切れる事が出来る筈。
今はまだ上手く笑えないけど、時間が経てばきっと、前の様に笑えるから。
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