君が、いない

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「ねぇ、今日泊まってもいい?」 腕に絡み付きながら、猫撫で声でそう軽に聞く少年を軽は片眉を上げて見遣った。 「駄目だ」 「えー、何で?」 「何でも。用が済んだなら帰れ」 冷たくあしらう軽に少年は不満げな表情を浮かべながらも服を着る。 少年が家から出て行ったのを確認すると軽はボリボリと頭を掻く。 「…腹減った」 何か無いか、と冷蔵庫を開ける。 けれど、めぼしい物は特になく。 きっと途綺が買い出しに行っているだろう。 そう結論付けると軽は自室に戻り、休憩する事にした。 リビングの机に途綺に渡したシルバーリングと合い鍵が置かれている事にも気付かずに。 目が覚めると次の日になっていた。 結局、一日寝てしまった。 気怠い体を起こし、軽は自室を出る。 「途綺ー…何か飯…」 そう呼び掛けても返事はなく。 寝ているのか? と首を傾げながらも冷蔵庫を開けた。 「…あれ、」 冷蔵庫の中には昨日と同じめぼしい物が無く。 冷蔵庫の中身が無くなると小まめに買い出しに行っていた途綺には有り得ない事で。
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