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「…は、冗談キツいだろ…」
自分のではないか、手に取ってシルバーリングを眺める。
それは確かに軽が途綺に贈った物で。
「………携帯、」
連絡、連絡をしなくては。
これはきっと何かの間違いなのだ、と。
途綺の口から、その声で聞かなければ。
軽は震える手で携帯を掴むと電話帳から途綺の名前を探し、電話を掛けた。
―――プルルルル…
―――プルルルル…
長く聞こえるコール音がプツ、と途切れた瞬間、弾かれた様に軽は途綺の名前を呼んだ。
けれど、そんな軽の耳に届いたのは途綺の声ではなく。
『お掛けになった電話番号は現在使われていません』
「…え」
機械地味た女の声に軽は、これでもか、と目を見開く。
使われていない?
いつから?
…分からない、何も、分からない。
「…嘘、だろ…?」
ゴトン、と音を立てて軽の手から携帯が床に落ちる。
それに続いて軽はその場に力無く座り込んだ。
何故、何で、どうして、
(分からない、何も…何も分からない…)
何が起きたのか、全く理解出来ない。
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