始まりの記憶

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それは、桜が咲き誇る季節の事。 満月が桜を照らし、この世の物とは思えない程、美しい景色の中で、 いつになく真剣な表情をしながら、君は一言、告げた。 「お前が好きだ」 風に舞い、桜が散って行く光景を何処か他人事の様に眺めながら、 今にも泣き出しそうな君は僕に抱き着くと言った。 好きだと。 どうしようもないくらいに、 自分では制御出来ない程に、 僕が好きなのだ、と。 震える声で、そう告げる君を強く抱きしめた。 「俺の傍に居て。離れないで」 そう言って君は僕に顔を近付けた。 段々と君の綺麗な顔が近付くのを僕は拒まなかった。 唇に触れた柔らかい感触を僕は拒めなかった。 …その日から、僕と君は"恋人"になったんだ。 …なった"筈"だったんだ。
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