≪皇室ハプスブルグ家≫

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 すると、この幼子はアントニアの手を取り、立ち上がり様、こう言ってみせたのだ。 「大きくなったら、僕のお嫁さんにして挙げるよ!」  その、あまりにもかわいらしい求婚に、一同は心を和ませる。  彼の名はヴォルフガング=アマデウス、後々の世まで、その名を刻む事になる歴史的音楽家の幼き姿であった。  対するアントニアも、やがて歴史にその名を残す事になるとは、彼女自身もまだこの時は露程も知らなかった。  時に一七六二年十月十三日、ある秋の日の出来事である──  
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