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森の中の川と呼ぶには小さすぎるせせらぎのほとりが、三人の遊び場。
陽平は、大きなカブトムシをたくさん捕獲しては、おままごとをしている私とアオイちゃんのところに持ってくる。
「1万円になりまーす」
右手を差し出しながら言う陽平。
「えっ、あっ。お金っ、そんなになくって!!」
赤くなったり、青くなったりしながらアオイちゃんは一生懸命答える。
「あー。もうっ、ここは東京じゃないんだよ!100円っ。100円しか出せません!」
「あ、葉月ちゃん…」
陽平の右手に石コロを乗せる。
「へへへっ。毎度ありー」
アオイちゃんは目を見開いて私を見る。
「石…だよ?」
「違うよ、アオイちゃん。お金だよ、お・か・ね!んー。アオイちゃんっておままごとしたことないの??ちなみにね、これはお札ー」
葉っぱをヒラヒラさせると、アオイちゃんは頬を赤くして感心したように何度もうなずく。
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