10年前

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森の中の川と呼ぶには小さすぎるせせらぎのほとりが、三人の遊び場。 陽平は、大きなカブトムシをたくさん捕獲しては、おままごとをしている私とアオイちゃんのところに持ってくる。 「1万円になりまーす」 右手を差し出しながら言う陽平。 「えっ、あっ。お金っ、そんなになくって!!」 赤くなったり、青くなったりしながらアオイちゃんは一生懸命答える。 「あー。もうっ、ここは東京じゃないんだよ!100円っ。100円しか出せません!」 「あ、葉月ちゃん…」 陽平の右手に石コロを乗せる。 「へへへっ。毎度ありー」 アオイちゃんは目を見開いて私を見る。 「石…だよ?」 「違うよ、アオイちゃん。お金だよ、お・か・ね!んー。アオイちゃんっておままごとしたことないの??ちなみにね、これはお札ー」 葉っぱをヒラヒラさせると、アオイちゃんは頬を赤くして感心したように何度もうなずく。
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